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 始まりがあるものは全て終わりがある。そういうこと、理屈では解ってるつもりだったけど。

 

 出勤して、朝一のメールチェック。受信フォルダにあった一通のメールが、週末の予定を大きく塗り替えることになる。

 Subject:訃報

 ――いつもよりCc:の人数が一人分減っていたそのメールには、大学時代の友人が急に亡くなったことが書かれていた。そんな馬鹿な。つい2週間前、忘年会と称して、皆で焼肉をたらふく食べたばかりなのに。慌てて知人に連絡をしながらも、正直、あまり実感が湧かなかった。

 週末。通夜へ行くため、大学時代の友人と駅で待ち合わせ。ここまで来ても、皆まだ実感が湧かない。ひょっとして嘘なんじゃないか。その辺から「嘘だよ〜ん☆」なんて出てくるんじゃないか。そんなことを話しながら降りしきる雨の中、斎場へ。でも、斎場の入り口には、奴の名前がでかでかと墨で書かれていて。

 そうか、これが現実なんだ。奴は、

 

 死んだんだ。

 

 馬鹿野郎。大学院に行くため、あんなに皆で勉強したのに。あんなに苦労して、今の会社に入ったのに。焼肉の時だって、「この中で誰が最初に結婚するかなー」なんて話してたじゃねえか。まさか黒いネクタイで会うことになるとは思わなかったよ。

 みんな就職して、数年が経って、そこそこ稼げるようになって。だから忘年会ではちょっと贅沢して、1800円のカルビを食べたっけ。そのとき、「向こうのお店では、4500円のカルビがある」って誰かが言って、「じゃあ来年の忘年会は、そこでしようか」なんて話をして。そう。来年もあると思ってた。再来年もあると思ってた。ずっとあると思ってた。それなのに。それなのに。

 線香をあげた後、別室で食事を勧められたんだけど。ただうつむく人、一人でビールをあおる人。みんな無言。誰も何も言わず、故人との思い出を反芻していた。

 ただ、灰皿に置かれた煙草の煙だけが。

 ゆっくりと、奴のいる天国の方へ。

 

 

 天国にいる友へ

 俺達はみんな、お前が大好きだったよ。

 どうか、安らかに……。