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数学的にありえない(上)/(下)

 いやー面白かったですよ!ノンストップ・サスペンスとして同列に「ダヴィンチ・コード」が挙げられてますが、私はダヴィンチより面白いと感じました!

 激しい癲癇の発作によって定職を失い、それによりギャンブル中毒となり破滅寸前のケイン。ところがその癲癇は全世界を自在に変えうる能力の兆しであった――。さまざまな物事が「原因」となり、一つの「結果」へと収束していく物語、とだけ紹介させていただきます!

クラインの壷

 ヴァーチャルリアリティ装置「クライン」を使い、ゲーム「ブレインシンドローム」のテストをする主人公。だが、日が経つにつれ、製作者たちへの疑念が生じてきて……。

 この本の何が凄いって、1989年にこのアイデアが出てきたのが凄い!「え、そこは携帯使えばいいんじゃない?」と思うところがしばしばありましたが、その当時を考えればあるわけがないんです!あとがきから引用すると、1989年って、パソコンは16MHz、MS-DOSはVer.3、ドラクエ3が最新作の時代ですよ。その時代にあって、VR技術からここまで発想を広げたってのは驚きです!

 現代でも充分に通用する小説です!一読をオススメします!(≧▽≦)

パプリカ

 クラインの壷→パプリカのコンボは精神的にくるものがありますな!

 他人の夢に侵入することで精神を治療する機械「DCミニ」をめぐり、開発側と悪用している側で壮絶な争奪戦が繰り広げられます。ところがDCミニの副作用によって、関係者全員の夢が共有化されていき……。

 後半の夢と現実が混然となっていくあたりで、一気に引き込まれてしまいました。最近アニメ映画化されたそうですが、夢のシーンがどのように表現されているのかちょっと興味あります!

チルドレン

 昨年末からハマってる伊坂なんですが、やっぱこの本も面白かったです。いまのところ伊坂作品にハズレなし。気軽に読める割に、心に残るものが大きいんですよねー。

 陣内という破天荒なキャラを中心として、ある人は同僚の家庭調査官として、ある人は陣内の学生時代の友人として、子供に接することで起こるいくつかの物語です。

 例によってほかの伊坂作品と緩やかに繋がってますし、短編それぞれも繋がっているのが心地よかったです。

銃とチョコレート

 乙一作の児童書。あの乙一が子供向けの本て!?Σ( ̄□ ̄;

 さすがに子供向けですから、黒乙一は影を潜めています。難しい漢字はひらがなになっていたり、ルビが振られていたりで、お子様でも読みやすくなっています。ただ、イラストは悪夢に出てきそうなのが多かったけど。

 行間も広く、1ページの文字数も少ないため、さくさく読み進めていけます。あー確かにこれは子供向けだなーと思いつつページをめくっていくと、

 中盤から怒涛の急展開

 ちょー!Σ( ̄□ ̄;子供向けでこの展開はアリなの!そこからはもう夢中でページをめくってしまいましたよ!面白かった!

 児童書の型にはまりながらも、単純な勧善懲悪ではないところや、たまーに滲み出る人間の悪意なんかが乙一っぽくていいなーと。

薔薇の女―ベランジュ家殺人事件

 矢吹駆シリーズ初期3部作のラストを飾る本。

 このシリーズは駆が現象学によって推理を進め、犯人を特定する(特定するだけであり、逮捕しようとは思わない)物語なのですが、初期は全然わからなかった現象学への言及が、作品が進むにつれて理解しやすくなってる気がします……。本筋とは異なりますが、ルノワールとの、性犯罪と太陽エネルギーの過剰の関係についての議論が妙に面白かったです。